教室日誌|【教師期待効果(ローゼンタール効果)の裏の面】
こんにちは。
こどもプログラミング教室 すまいる・キッズのとどちゃんです。
すまいる・キッズは、藤井寺市にある、年長さんから通えるこどもプログラミング教室です。
藤井寺だけでなく、羽曳野市・柏原市方面からも、ロボットプログラミングやScratch、Robloxなどを学びに来てくださっています。
前回は、子どもの明るい未来を信じて期待すると、子どもが自信をもって伸びていくという
教師期待効果(ローゼンタール効果)について書きました。
そして、それは、すまいる・キッズで大切にしている「良いところを見つけて伸ばす」という考え方にもつながっていると感じています。
ただ、この教師期待効果には、裏の面もあります。良い期待が子どもを伸ばす力になるのなら、反対に、悪い決めつけも子どもに影響してしまう可能性があるということです。
マイナスの言葉が続くと、子どもは自信を失ってしまう
たとえば、大人が子どもに対して、
「ダメな子」
「いつも同じことばかり間違える」
「遅いんだから、もっと早くしなさい」
そんな言葉ばかりをかけ続けてしまうと、子どもは少しずつ、「自分はダメなんだ」「どうせできないんだ」と思うようになってしまうことがあります。
もちろん、大人の側には悪気がないことも多いと思います。
「この子の将来のために」
「今のうちに直しておかないと」
「ちゃんとできるようになってほしい」
そんな思いから出ている言葉かもしれません。
でも、子どもにとって大切なのは、今感じられる安心感です。
今、愛されていると感じられること。
今、自分のことを信じてもらえていると感じられること。
そして、未来に対して明るい期待を持ってもらえていること。
小さいお子さんは、お母さんやお父さんに褒めてもらいたくて、一生懸命です。
その子なりにがんばっているのに、目に見えるのが足りないところばかりになってしまうと、子どもの心は少しずつしぼんでしまいます。
ローゼンタール効果はラットの実験でも示された
ローゼンタール効果に関連する研究では、ラットを使った実験もあります。
大学生たちに、ランダムに選ばれたラットを渡し、
「このラットは知能が高い」
「このラットは知能が低い」 と伝えました。
実際には、ラットに知能の差はありませんでした。
しかし、迷路学習の訓練を行った結果、「知能が高い」と伝えられたラットの方が、学習成績が良くなったとされています。
なぜそのような差が出たのか。
それは、大学生たちの接し方が変わったからだと考えられます。
「このラットは賢い」と思っていると、丁寧に扱う。
訓練にも熱心になる。小さな変化にも気づきやすくなる。
一方で、「このラットはあまり賢くない」と思っていると、扱いが雑になったり、訓練がおろそかになったりする。
言葉でのコミュニケーションができないラットでさえ、期待の違いによって関わり方が変わり、結果に影響が出たと考えられるのです。
これは、人間の子どもにも通じるところがあると思います。
人は、相手の表情、声のトーン、態度からも感じ取っています。
言葉でのコミュニケーションが拙い、子どもが大人を見る時にはもっと敏感に感じ取っていると思います。
「信じてもらえている」
「どうせ無理だと思われている」
その空気を、子どもは言葉以上に受け取っているのかもしれません。
どうしても「足りないところ」に目がいってしまう
とはいえ、私たち大人も、悪気があって子どもの足りないところを見ているわけではありません。人間はどうしても、欠けているところ、危ないところ、うまくいっていないところに目が向きやすいものです。
これは、人間の本能ともいわれています。
大昔、人間は自然の中で生きていました。
少しの物音
わずかな変化
いつもと違う気配
それに気づけなければ、命に関わることもあったはずです。
だから、人はもともと、問題や危険に気づきやすいようにできているのだと思います。
これは、悪いことではありません。
危険を察知する力は、生きるために必要な力です。
ただ、そのアンテナのまま子どもを見ると、どうしても
「できていないところ」
「直したいところ」
「気になるところ」
ばかりが目につきやすくなってしまいます。
プログラマーの「デバッグ」と子育ての視点
ぼくは元プログラマーです。
プログラマーの仕事には「デバッグ」という作業があります。
デバッグとは、プログラムやシステムの中にあるバグ(不具合)を見つけて修正する作業です。
この仕事では、
「どこに問題があるか」
「どこで失敗しそうか」
「どんな条件でエラーが出るか」
を探す力が必要です。
仕事としては、とても大切な能力です。
でも、この視点のまま子どもを見てしまうと、どうなるでしょうか。
子どもの行動の中から、バグを探すように、
「ここが違う」
「そこができていない」
「また同じミスをした」 と、指摘ばかりになってしまうかもしれません。
もちろん、必要な注意や声かけはあります。でも、子どもはプログラムではありません。
ミスを直すだけで成長するのではなく、安心感や信頼、うれしい経験の中で、少しずつ自分を伸ばしていきます。
良いところを見るアンテナに、意識して付け替える
だからこそ、大人の側が意識して、
「良いところを見るアンテナ」に付け替えることが大切だと思っています。
たとえば、「わからないところがあれば、上手に言葉で質問ができた」
「最後までやり遂げようと努力した」
「失敗しても、もう一回やってみた」
こういう小さな成長は、意識しないと見逃してしまいます。
でも、子どもにとっては、その小さな一歩がとても大きいことがあります。
大人がそこに気づいて、
「よくがんばったね。嬉しいよ」
「言葉で、わからないことを伝えられたね」
「繰り返し練習してきるようになったね」
と伝えることで、子どもは自分の成長に気づくことができます。
ほめることは、習慣にしていくもの
「良いところを見つけて褒める」
これは、急に完璧にできるものではないと思います。
普段から少しずつ習慣にしていくものです。
最初は、意識しないとできないかもしれません。
でも、毎日の中で、
「今日、この子の良かったところは何かな」と考えてみる。
寝る前にひとつだけ思い出してみる。
お迎えの時に、ひとつだけ伝えてみる。
そんな小さな積み重ねで、大人の見る目も少しずつ変わっていきます。
何気ない幸せを言葉にして伝える
子どもに対して、特別な成果がある日だけ褒めるのではなく、何気ない幸せを言葉にして伝えることも大切だと思います。
「今日も元気でいてくれてありがとう」
「教室に来てくれてうれしいよ」
「一緒に学べてうれしい」
「生まれてきてくれてありがとう」
そんな言葉は、子どもの心の土台になります。
子どもは、大人が思っている以上に、大人の言葉を受け取っています。
そして、大人が思っている以上に、
「自分は大切にされているのか」
を感じ取っています。
子どもの未来を信じて、今を見守る
教師期待効果は、子どもを伸ばす力にもなります。
でも、同時に、悪い決めつけが子どもの自信を奪ってしまうこともあります。
だからこそ、子どもを見るときには、「今できていないこと」ばかりを観ないようにないようにしたいと思います。
今は成長の途中。今はまだ、芽が出る前の時期かもしれません。
そう思って見守ることで、大人の声かけも変わっていきます。
子どもたちは、大人の期待を感じながら育っていきます。
だからこそ、すまいる・キッズでは、これからも子どもたちの良いところを見つけ、認め、言葉にして伝えることを大切にしていきます。
悪いところを探すアンテナではなく、良いところを見つけるアンテナへ。
それを意識して付け替えながら、子どもたちの明るい未来を信じて、あたたかく見守っていきたいと思います。