「ありがとう」は最強のほめ言葉 〜HELPのその先にある、心と心のキャッチボール〜
子どもの未来を支える“肯定のキャッチボール”
「ありがとう」は最強のほめ言葉
〜HELPのその先にある、心と心のキャッチボール〜
昨日ご紹介した「HELPボール」。
今日は、その“HELPのあと”に、私がとても大切にしているもうひとつの言葉――「ありがとう」についてお話ししたいと思います。
■ ブロックが固くて外れないとき、その先にある「ありがとう」
ロボットづくりの中で、低学年の子どもたちには
まだ難しいパーツがあり、ときどき固くて外れないことがあります。
そんなとき、私はそっと声をかけます。
「無理に外さなくていいよ。持っておいでね」
そして、子どもがHELPを出してくれて、私がそのパーツを受け取り、リムーバーで外します。
無事に外せたそのパーツを子どもに返すとき――私は必ずこう伝えます。
「ありがとう。」
このひとことには、ただの感謝以上の、私の深い気持ちが込められています。
■ “ありがとう”に込めたふたつの気持ち
ひとつは、「ちゃんと助けを出してくれて、ありがとう」。
助けを求めてくれたその勇気、そして信頼に対しての感謝です。
もうひとつは、何かをしてもらったときには「ありがとう」と伝えることが自然にできるように、私自身が率先して伝えているということです。
何度かこのやり取りを繰り返すうちに、子どもたちは自然と「ありがとう」と言ってくれるようになります。
そのとき、私は優しくこう返します。
「どういたしまして、こちらこそ、ありがとう。」
このやりとりは、ただのマナーではありません。
“ありがとう”という感謝の気持ちを受け取り、尊重する。
それは、心と心がつながる小さなキャッチボールなのです。
■ 子どもたちに伝えたい、“ありがとう”の力
私は、子どもたちに「ありがとう」を自然に言える人になってほしいと願っています。
特に、一番身近な存在であるご両親や兄弟に対して、当たり前のように「ありがとう」を言葉にして伝えられるようになってほしいのです。
なぜなら、ありがとうは“相手を認めること”だから。
近隣の保育園でも、日頃からしっかり「ありがとう」を伝える習慣が根付いている園の子どもたちは、とても自然に「ありがとう」が口から出ます。その姿をとてもいいなぁと、好ましく感じます。
繰り返し使っていると、言葉として馴染み、心から出てくるようになるのです。
誰かが助けてくれたとき。
自分のために何かしてくれたとき。
その優しさや存在に「ありがとう」と伝えること。
それは、とても素敵な“ほめる力”なのです。
■ 「親のあり方」が子どもを育てる — ドロシー・ロー・ノルトの言葉
名著『子は親の鏡』で知られるドロシー・ロー・ノルトは、こんな言葉を残しています。
励ましてあげれば、子どもは自信を持つようになる。
褒めてあげれば、子どもは明るい子に育つ。
認めてあげれば、子どもは自分が好きになる。
“認めること”、“励ますこと”、“褒めること”。
その根底には、相手への「ありがとう」があると思うのです。
だから私は、HELPのあとの「ありがとう」を、とても大切にしています。
■ 小さな「ありがとう」から始まる、未来への一歩
HELPを出せたこと。
助けてもらったあとに「ありがとう」と言えること。
助けてくれた人に「どういたしまして」と返せること。
そんな小さなやりとりが、子どもたちの未来を育てる“力”になります。
たった一言の「ありがとう」が、今日もまた、誰かの自己肯定感をそっと支えてくれる。
私はこれからも、子どもたちとの「ありがとう」のキャッチボールを大切にしていきたいと思います。
そしてこの教室が、誰かを認め、誰かと支え合い、「ありがとう」が自然に飛び交う、あたたかい場所であり続けることを願って。
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