
小さなステップの大きな一歩
子どもたちを注意深く観察する時、大切なのは「できなかったこと」よりも、「できるようになってきたこと」「前とは変わったこと」に目を向けること。
信じて、子どもたちのようすを見ています。
気持ちに隙があると、ついつい“できていないこと”や“足らないこと”ばかりに目を奪われてしまう。
でも、うまくできなくても頑張ったこと、一生懸命に取り組んでいたこと、小さな成長や変化にスポットを当てて、
しっかりと言葉にして、ほめてあげたい。
だって、子どもには“伸びしろ”や“心の成長”がたっぷり詰まっているからです。
そんな視点でひとりひとりの子どもにスポットを当てて、良いところを挙げていきたいと思います。
水曜日のチーム:Kくんの成長ストーリー
最近のKくん、すごく穏やかになってきました。
以前はうまくいかないと、気持ちがいっぱいになって涙があふれ出てしまうこともありました。
でも最近は、そんな姿はあまり見かけなくなりました。
もちろん、「うまくいかないことを受け入れる」のは簡単なことではありません。
その涙には、悔しい気持ちが込められていたのだと感じます。
そういった涙があふれている姿を見ることが減ったのは、「できなくてもいいや」とあきらめたわけではなく、
「完璧じゃなくても、一歩ずつ登っていけばいいんだ」と、心が自分自身に少しずつ許可を出せるようになってきた証だと思っています。
たとえば、テストが100点でなく98点だったときに、
呆然としてしまい、頭が真っ白になって涙がボロボロ……そんな様子だったKくん。
でも今では、「穏やかに、少しずつ頑張ればそれでいい」という気持ちを手に入れています。
この気持ちを持てるようになったKくんは、とても強く、しなやかに成長しています。
失敗しても「次、どうしよう?」と穏やかに立ち止まり、考える力が育ってきましたね。
そんなKくんの姿に、私たち大人が学ばされることもたくさんあります。
水曜日のチーム:Sくんの根っこの力
Sくんの最近のペースは、まるでしっかりと根を張って成長しているように感じます。
以前は、うまくいかないと手が止まり、「もういいや…」と考えるのをやめてしまうこともありました。
けれど最近は、時間をかけてでも理解しようとする姿勢がとてもよく見えます。
ロボットプログラミングにも、粘り強く、丁寧に取り組んでいますね。
ひとつひとつ理解して、自分の力で組み立てていくその姿は、まるで職人さんのようです。
そして、毎回帰り際にするハイタッチ。
そのたびに、「あれ? 背が伸びたな」と彼の身体と心の成長を感じさせてくれます。
明るくて、おおらかで、どこか周りを和ませる力も持っているSくん。
これからも、その“やさしい根っこの力”が、じわじわと大きな花を咲かせていくのだと思います。
「うまくいかない」も、実は宝物
どの子も、「うまくいかなかった経験」を通して、大切なことを身につけています。
うまくいかないは、うまくいく方法を考える練習です。
産まれた子がいきなり立ち上がり、自転車に乗れたりはしません。
ひとつ、小さなステップを乗り越えて、いろんなことができる用のなります。
「自分を信じる力」「あきらめない力」「他者に心を開く力」が育っているのです。
ついつい結果に目がいきがち。
でも、子どもたちが日々小さなステップを上り、成長を続ける中で見つける小さな良いところ、
そこに光を当て、言葉にして伝えてあげること――
それこそが、本当の意味で「子どもを伸ばす関わり」なのだと信じています。
次回もお楽しみに!
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